こんにちは。ふぐたくまおです。
一級建築士の学科試験の科目のひとつに「構造」があります。
「構造」は構造力学・各種構造・建築材料について問われる科目で、得点が125点中30点と高く、この科目で何点取れるかで合格か不合格か分かれると言われています。
各種構造・建築材料は暗記問題なのに対し、構造力学は計算問題で、基本的な数学や物理の知識を使い問題を解く応用力学の一種です。
計算問題なので解ければ確実に点数が取れるのですが、構造力学を諦めて各種構造・建築材料で得点を稼ぐ方法が考えられるほど、構造力学に苦手意識を持つ受験者が多いのです。
ですが、構造力学は公式を覚えれば点数をしっかり稼ぐことができ、一級建築士の合格により近づくのです。
目次
構造力学を諦めてはいけない2つの理由


暗記だけでも精一杯なのに、難しい計算問題とか、もう頭が痛くなるよ…。

諦めないで!構造力学は諦めてはいけない理由があるんだ!
一緒に公式を使って構造力学に立ち向かおう!
学科試験では似たような問題が出やすい
構造の問題が30問のうち、構造力学は6~7問が出題されます。
難しいからと構造力学の問題を諦めてはいけません。
なぜなら、構造力学の問題はそこまで難しい問題が出題される可能性は低いからです
問題数が6~7問あるうち、よく出題される問題は11種類といわれています。
簡単にですがまとめてみました。
- トラス部材の軸方向力
- 部材のたわみとたわみ角
- 木造の壁比率
- 不静定の時のモーメント図や応力計算
- 終局耐力の計算
- 全塑性モーメント
- 振動による復元力や固有周期の計算
- 座屈
- 門型ラーメンの水平剛性
- 断面二次モーメントや断面係数を求める問題
- 静定・不静定の判別問題
つまり、このよく出題される11種類の問題を、完全に自分のものにしてしまえば6~7点は確実に、点数を取ることが出来るのです。

ぼくは構造力学で7問中6問を正解したから、一級建築士に合格できたと考えているよ!
計算問題だから数をこなせば結果が出やすい
構造力学は計算問題なので、問題を解けば解くほど、問題の解き方が体に覚え込ませれば、確実に得点につながります。
しかし、何冊もの過去問集をやったり、問題を解いただけで終わりでは、あまり意味がないのです。
- 同じ問題を何回も解くこと
- 間違えた問題にはチェックを入れる
- どうして間違えたかを考えること
これを繰り返せば、より効率よく身につくと考えられます。構造力学を学ぶのに大事なことは、
- なにがわからないかを知ること
- どういう問題なのか理解すること
- 問題の解き方を体に覚えさせること
この3つなのです。

構造力学の基礎をしっかり身に付けたから、問題も解けそうな気がしてきた!

構造力学の基礎が身に付いたら、次は公式を使って実際に解いてみよう!
構造力学を勉強するのに役立つオススメのサイト
建築技術教育普及センター
まずは、試験元となる建築技術教育普及センターです。こちらでは、過去の試験問題を平成25年~令和3年まで公開しており、無料で印刷やダウンロードすることが可能です。
また、合格基準点等(正答肢・配点・合格基準点)もダウンロードが可能なので、基礎がしっかり見についたら、本番に向けて力試しとして解いてみるのもオススメです。

完全独学で勉強する人は、最大限利用しましょう。
スタディング(STUDYing)
- 完全独学では、不安である
- かと言って、学校には通いたくない、もしくは通う余裕がない
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もちろん構造力学についても、しっかりと動画で解説をしております。なので、パソコンやスマホで隙間時間に学習することが出来ますし、サイト内にWEB問題集も充実していますので、インプットとアウトプットを同時に行えます。
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完全独学が不安な方は、スタディングで勉強しつつ、普及センターから過去問をダウンロードして勉強するやり方をおすすめします!
覚えるべき主な公式は5種類

構造力学は、公式をしっかり使いこなせるようになると、確実に点数につながります。
しかし、たわみとたわみ角の公式だけでも10個を超えるほど数が多く、その他の公式もまだあるので、正しく覚えて公式を使わないと想像以上に大変なのです。

ねえ、公式の数…ちょっと多くない!?
どれから覚えればいいの!?

大丈夫、これから言う公式を覚えたら解けない問題はないよ!
はじめのうちは、テキストを見ながらでもいいから、少しづつ覚えよう!
たわみとたわみ角の公式
部材に力が入って形を変えることをたわみ、部材がたわんだときにできる角度をたわみ角といい、どちらもδと表します。
たわみとたわみ角の公式で代表的なのは 、単純梁と片持ち梁の公式です。
単純梁と片持ち梁のたわみ・たわみ角を求める公式は、数あるたわみ・たわみ角の公式のなかで基礎となるもので、これを覚えなければたわみ・たわみ角で点数は取れないのです。
単純梁とは、両端をピン支点(△)やローラー支点の上に梁を置いたもので、片持ち梁は片側を固定して一点で梁を支えているものです。

集中荷重は1点に荷重がかかっていることで、等分布荷重は全体にバランスよく荷重がかかっていることだよ!

中央集中荷重の場合
たわみの公式δ= PL3/48EI
たわみ角の公式δ= PL2/16EI

等分布荷重の場合
たわみの公式δ= 5wL4/384EI
たわみ角の公式δ=wL3/24EI

片持ち梁は、屋根のひさしやバルコニーなどに使われているよ。

先端集中荷重の場合
たわみの公式δ= PL3/3EI
たわみ角の公式δ= PL2/2EI

等分布荷重の場合
たわみの公式δ= wL4/8EI
たわみ角の公式δ= wL3/6EI
P:集中荷重 W:等分布荷重
L:スパン(長さ)
E:ヤング係数(部材そのものの固さ)
I:断面二次モーメント(部材の形状による曲がりにくさ)
おさらいポイント
- 集中荷重はPL/EI
たわみPL3・たわみ角PL2 - 等分布荷重はwL/EI
たわみwL4・たわみ角wL3 - 単純梁で等分布荷重のたわみの公式は「5」wL4/「384」EI なので注意!
断面二次モーメントの公式
断面二次モーメントとは、部材の形状による曲げにくさのことで、Iで表します。
たわみの計算にはもちろん、座屈や水平剛性の問題にも使え、これを覚えれば多くの問題が解けるようになりますが、逆に言えば覚えなければ多くの問題が解けないのです。

モーメントは、物体を回転させようとする力のことだよ!
よく出てくるから覚えようね!

四角形の断面二次モーメント
I=bh3/12

三角形の断面二次モーメント
I=bh3/36

円形の断面二次モーメント
I=πD4/64
b:断面の幅・h:断面の高さ・D:直径
π:円周率
断面二次モーメントとたわみの関係
δ=α/I
δ:たわみ・I:断面二次モーメント・α:荷重条件や支持条件による係数
この式のとおり、断面二次モーメントとたわみは反比例の関係です。
なので、断面二次モーメントが多くなるにつれ、たわみは小さくなるのです。
断面係数の公式

断面二次モーメントと、断面係数って名前似ているけど、どう違うの?

実は、求めるのが曲げる力に対する強さっていうところは一緒なんだ!
しっかり違いを覚えれば、正しく使い分けることができるよ!
断面係数とは、部材が曲げる力に抵抗する力の値のことで、Zで表します。
断面係数は部材を曲げる力に抵抗する力の値に対し、断面二次モーメントは部材の形状による曲げにくさを表します。
どちらも曲げモーメントに対する抵抗力を表すといった似たようなところがありますが、違いといえば、断面二次モーメントは足し算や引き算ができますが、断面係数はできません。
また、断面二次モーメントと断面係数は、構造力学では使い方が違います。
断面二次モーメントはたわみの計算に使用され、断面係数は応力度の計算に使用されます。
断面係数の求め方
Z=I/y
Z:断面係数・I:断面二次モーメント・y:図心から断面の端までの距離
断面係数は、断面二次モーメントを距離で割ると求められます。
断面二次モーメントが大きくなるにつれ、断面係数も大きくなります。
それほど、断面二次モーメントと断面係数は近い存在なのです。

四角形の断面係数
Z=bh²/6

円形の断面係数
Z=πD3/32

円筒の断面係数
Z=π(D3–d3)/32
b:断面の幅・h:断面の高さ
D:直径・d:内円の直径
π:円周率
y:図心から断面の端までの距離
水平剛性の公式
水平剛性とは、水平方向に働く水平力に対する部材の固さのことで、Kで表します。
剛性は、物体の固さ・変形のしにくさを表す値のことで、水平剛性の値が大きいと、建物が揺れにくくなります。
建物の揺れは水平変位といい、たわみの公式と同じδで表しているので、たわみの公式を覚えていれば水平変位は求められます。
この公式は、水平剛性の問題にもいろんなタイプのラーメン構造にも使うことができます。
水平変位の公式 δ=P/K
δ:水平変位・P:地震力・K:水平剛性のこと
地震力が大きいと建物は大きく揺れ、水平剛性が大きいと建物はあまり揺れないのです。
水平剛性の求め方
水平変位の公式δ=P/Kに、
たわみの公式を当てはめるのですが、
部材の支持条件によって変わります。
今回はδにPL3/3EIを入れます。
PL3/3EI =P/K
K=3EI/ PL3 ×P
K=3EI/ L3 となります。


ラーメン構造の場合は、柱は二本あるのでラーメン構造全体の水平剛性は2倍にしないといけないよ!

K:水平剛性・δ:水平変位・L:スパン
E:ヤング係数(部材そのものの固さ)
I:断面2次モーメント(部材の形状による曲がりにくさ)
P:集中荷重
座屈荷重の公式
座屈とは、長い棒といった部材に外力を加えたとき、柱の強度よりも弱い力で折れてしまう現象をいいます。
また座屈が発生するときの荷重を座屈荷重といい、Pと表します。
多くある座屈の中でも有名なのは、オイラー座屈です。
オイラーの座屈はまたの名を曲げ座屈といい、長い棒といった部材に外力を加えたとき、横にたわみ出し急激な耐力低下が起きる現象のことです。
オイラー座屈を使えば、座屈荷重を求めることができます。
オイラー座屈の公式 P = π² × EI/Lk²
P:座屈荷重・E:ヤング係数
π:円周率 ・Lk:座屈長さ
I:断面二次モーメント
座屈長さについて
座屈長さLkは、部材の長さに対して座屈の影響を受ける範囲を表したものです。
座屈長さの係数Kは、座屈の長さを求めるのに大事な係数で、部材の支持条件によって値が変わります。

水平移動が固定の場合と、自由な場合があるよ!


まとめ
- 構造力学は計算問題だから、解ければ点数につながりやすい
- 学科試験の問題は似たような問題が多いから、解けば解くほど身につく
- たわみとたわみ角の公式
(単純梁・片持ち梁) - 断面二次モーメントの公式
(四角形・三角形・円形) - 断面係数の公式
(四角形・円形・円筒) - 水平剛性の公式
(一端ピン他端固定・両端固定) - オイラー座屈の公式
構造力学は、最初から理解するのは大変だと思います。それでも、諦めるという選択は選ばず、まっすぐ向き合うあなたはすごいです。
ひたすらに頑張った先に、一級建築士の合格があると思います。そのお手伝いができたら、ぼくは嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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こんにちは。ふぐたくまおです。
「何だ?この フグの帽子を被った怪しいクマ は?」という疑問にお答えします。
ぼくは、関東生まれ関東育ちの元公務員です。
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ぼくが、なぜ資格の取得までに250万円を費やしたか、こちらで詳しく紹介してるので、よかったら見てやってくださいね。
プロフィール:新卒で建築会社に入社するも、周りに流され明確な意思がないまま、資格学校に入学。その後授業料だけ払い、勉強もせず学校も行かず無駄な日々を過ごす。一級建築士の取得までに掛かった総額は実に250万円以上!
合格してわかったことは、製図を独学で勉強するというのはほぼ不可能ということ。でも、学校は学費が掛かる。もっと安価で製図を教えてくれる人がいれば、自分のように時間とお金を掛けずとも一級建築士は取れるはず・・・
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